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『魚はなぜ減った? 見えない真犯人を追う』 10月下旬発売!
2021.10.15
農作物を害虫の被害から守ってくれる化学農薬が、なぜ害虫だけではなく魚類も減らすに至ってしまったのか。
『魚はなぜ減った? 見えない真犯人を追う』
10月下旬発売!
つり人オンライン=まとめ
近年ミツバチの大量死などで注目を浴びた「ネオニコチノイド系殺虫剤」。日本の水田で広く使用されているこの農薬は魚にも悪影響を及ぼしているのではないか?と懸念した釣り人も多いだろう。
東京大学大学院新領域創成科学研究所教授である著者は、卒業論文・修士論文・学位論文のすべてを、宍道湖をテーマに書いた。そのデータを駆使し、「化学分析」という武器をもとに、釣り人が抱いた懸念と同じ疑問に切り込んでいく。
著者はデータを積み重ね、裁判の判決文のように明確な論理をもって、ネオニコチノイド系殺虫剤が水中の食物連鎖を破壊し、その結果同湖におけるウナギとワカサギの漁獲量が激減したという結論を導き出す。また、その過程では非常に興味深い注目すべき事例も次々に明らかにされていく。それは私たちが漠然と抱いている常識を覆す内容や、さらにはネオニコチノイド系殺虫剤使用以前にも他の要素で水辺の生態系が激変していた事実が明らかにされる。
さらに巻末には、編集部取材による、ネオニコチノイド系殺虫剤を使用しない水稲栽培方法を確立した兵庫県豊岡市の事例を掲載。無農薬栽培の現実的な課題を伝える視点も盛り込んだ。
SDGs、生物多様性の重要性が叫ばれるいま、本書によって著者の視点を共有し知識を得ることは、釣り人をはじめ水辺を愛する人たちの視野を広げ視界を明るく照らし考えを深め、あるべき姿の生態系を取り戻すための大きな指針となるに違いない。