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ホンモロコ、南湖で大量の産卵、復活の兆し
2019.12.29
中日新聞
滋賀県の琵琶湖で、幻の高級魚と呼ばれる「ホンモロコ」が復活の兆しを見せている。今年に入り、二十年ほど産卵が非常に少なかった湖の南部で大量の産卵が確認された。稚魚の放流方法の工夫などが好影響につながったとみられ、漁業関係者からも期待の声が上がる。
県水産試験場(彦根市)によると、ホンモロコの産卵場所は近年、湖北部にほぼ限られていた。試験場がかつて産卵場だった湖南部の草津、守山両市の計二地点を調べたところ、二〇一六、一七年と産卵がなかった草津市の地点で一八年に八千粒見つかり、今年は百九十六万粒に急増した。
守山市では一七年に五十四万粒が見つかり、一八年は十一万粒に減ったが一九年は百二十四万粒へと大きく回復した。このほか、一三年の調査で産卵がゼロだった湖南部の元産卵場の三地点でも一九年に産卵が確認された。
農林水産省の資料では、琵琶湖のホンモロコの漁獲量は一九七〇年代には年間三百五十トンほどあったが、〇四年までに同五トンに落ち込んだ。一八年は三十トンと徐々に回復しているが、ピーク時に比べると十分の一以下にとどまる。
試験場は、稚魚や卵を捕食する外来魚の増加、湖岸の開発などによる産卵場の減少が背景にあるとみている。
試験場などは、生息数を回復させようと〇〇年から稚魚の放流を開始。当初は琵琶湖に直接放流する手法だったが、成魚になる前に死んでしまうことが多かった。そのため、一二年からは琵琶湖に水路でつながる水田に稚魚を放流し、一定程度、成育が進んだ後に琵琶湖に放つようにし、安定的に成育が進むようになった。
ホンモロコの回遊を阻む大量の水草の刈り取り、ブラックバスやブルーギルなどの外来魚の駆除も効果があったとみられる。
試験場の米田一紀主任技師は「やっと戻ってきた産卵場所を、今後も維持することが大切。そのための環境の維持や改善に努めていきたい」と話す。
回復の兆しは漁の現場でも表れつつある。沖島漁業組合(近江八幡市)などによると、昨年は好漁で約三十年ぶりに漁獲調整を実施。今年の漁獲量もすでに昨年の一・五倍に達したという。奥村繁組合長(72)は産卵の増加傾向について「喜ばしいこと。春先もさらに漁獲増が見込まれそうだ」と話している。